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工事監理とは

工事監理の全体の流れをお話ししましょう

 実施設計完了後、竣工引き渡しまでが、一般的な監理業務期間です。工事中の継続的な工事監理のほかに、工事見積り依頼にはじまって、現場における工事の監理がはじまるまでの期間もおろそかにできません。建築家は監理業務を設計業務のひとつと考え、設計の意図に基づいた建物を完成させ、あなたに引き渡しをしたいのです。

 工事を担当する施工者の選定に当たっては、その施工者の技術的能力、経験、信用度から検討します。せっかく描き上げた設計図も、施工者が誤って読み取ったり、独自の解釈で工事を進めたりすると、ただの紙切れになってしまうので、設計の意図どおり施工できる業者を選択しなければなりません。

 次に見積りが施工者から提出されますが、あなたは見積り金額を見ただけで施工者決定のために心を動かしてはいけません。つまり見積り金額が他社より安いだけが施工者を決定するポイントではないということです。

 建築家は監理者として第三者の冷静な立場で、十分な見積書のチェックを行ない施工者の能力をかみ合わせながら判断しあなたに助言します。

 請負契約後、工事がはじまりますが請負契約を結んでしまうと、施工者が工事を行ない建築家が監理する、後は竣工を待つだけでは寂しくありませんか。

 まずはじめにあなたは、ご近所に工事着手の挨拶をされた方がよいですよ。工事中は何かと近隣に迷惑をかけることが多いのですから、工事関係者だけが挨拶に行けばよいという考えではなく、あなた自身もご近所に挨拶に行くという意識が大切です。そのような積極的な姿勢が、建築主、建築家、施工者の意志の疎通を図ることになり工事を円滑に進めます。

 工事現場では、工程表にそって仮設工事に始まり躯体工事へと進んでいきますが、各工事すべてに建築家はプロの眼で厳しく工事をチェックしていきます。工事が図面どおりに施工されていない場合には、手直しを指示し、後で確認するのです。施工図をチェックしたり、設計の意図をより明確にするために、原寸図を作成したりして工事監理を進めていきます。

建築家の監理と施工者の管理の違い

 監理と管理、発音は同じでも大きな逢いがあります。

 建築家の監理は依頼主の立場に立って依頼主から依頼を受けて、その代行者として工事監理を行うものです。それに対して施工者の管理は工事施工者の立場で現場の作集を指揮管理すると同時に、施エ上の品質管理を指しますか、建築家の監理は施工者の品質管理を確認することです。つまり、私たちの工事管理業務は、工事が設計図書に示すとおり正確に実施されているかどうかを確認する業務です。