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着工 -工事の流れ-

いよいよ着工です

 あなたは建築家(設計者)と相談を始めてからもう何ヶ月経ちましたか。

 時間を忘れて打ち合わせをしたあなたの夢が、いよいよ実際の形になっていきます。

 住まいは、住まい手と建築家、そして工事をする人たち、3者が一緒に創り上げていくものです。

 また多くの工程を経て建っていきます。ゼロからひとつのものができあがる感動を積極的に味わってみましょう。

着工日のポイント

① 着工日は作業の能率の点から雨期や夏の炎天下をなるべく避けたほうが賢明でしょう。

② 建設物価の高騰期や資材不足のおりは一時着工の延期も必要です。

③ 完成時期を12月年内にしないで1月へ年を越すと固定資産税を一年間節税することができます。

現場における工事の監理

 依頼主のあなたにとって場場は、どんな家になるのか楽しみが一杯なところでしょうが、建築家にとって現場は、実際の形にする重要な仕事で心を締めて施工者の作業を注意深く見守るところです。

 あなたとの打ち合わせを含め考え抜かれた設計図ですが、設計の意図をより高めるために現場では単に工事の手落ちが無いかのチェックだけではなく、必要に応じて設計図に手を入れたり施工者により具体的にわかってもらえるようにスケッチを描いたりします。

 建築は設計図だけですべてを語れるものではありません。建築家たとっての現場監理は、その想いをより深め、それを形作っていく大切な時期でもあるのです。

地鎮祭

 工事着工するのに先立って敷地の地主神を鎮め工事の無事を祈願するために行なわれる儀式。吉日を選んで午前中行なうのが常です。

(あなたへのアドバイス)

 祭典費は一般的に地鎮祭のみ施工者の負担(見積り条件による)となりますがその範囲を確認してください。神主への謝礼はあなたがじかに払うのが通常です。

 式で分からないことは、神主に前もって聞いておきましょう。

仮設工事・・・

 本工事のための工事です。

 建物を完成させるために、一時的な施設・設備の初工程のことです。

 縄張り、遣り方、現場事務所、仮囲い、内外足場など、設備では仮設電気、水道設備などをさします。

基礎工事・・・

 建物を支えるための重要な足回りの工事で、施工後は見ることはできません。

 基礎工事には、土地の掘削や埋めたりするなどの土工事や、建物の基礎を支えるため地盤に杭を打ったり割栗石を突き囲めたりする地業工事、そして建物本体を支えるのに鉄筋コンクリートで基礎を造る鉄筋コンクリート工事があります。

駆体工事・・・

 建物の骨格です。これも後からは見えなくなる部分が多い工事ですが、設計の意図によっては駆体工事が仕上工事となる場合があります。

 例えば鉄筋コンクリート工事では、鉄筋の本数や組み立てが図面どおりになっているか、また耐火性・耐久性の必要から鉄筋のかぶり厚さが規定どおりかなど、建物の安全上必要とされることを、建築家は現場で確認します。

 構造によっていろんな区分に分かれますが、いくつかここで紹介してみましょう。

 木造躯体工事 → 柱梁の刻み建前及び抽組、筋かい、小屋組、屋根野地、床組などの施工を言います。

 鉄筋コンクリート工事 → 鉄筋を加工・組み立てる工事、型枠工事及びコンクリート材料の調合、打込み、養生までの施工を言います。

 鉄骨工事 → 鉄骨構造の製作から建方までの工事です。

上棟式・・・

 棟上げ式、建前とも言い建築儀礼のひとつ、棟木を上げる時に行なわれ、大地を司る神に守護を感謝し家屋の棟を司る神々に、事の成就を願う祭事です。

【上棟式を楽しもう】

 ここまでの大工さんの苦労をねぎらう意味も込めて感謝を上棟式で表わしましょう。

 建前には大工さんの仲間が多く集まって、すでに加工してある柱や折をクレーン車で持ち上げて短時間のうちに組み立てます。

 そばで見ていると木の香りがプンプンしたり、木槌の音が鳴り響きますが、その組み立ての手際のよさには驚かれるでしょう。

 また直会(なおらいかい:神事の後に集まって神酒などをいただく酒宴)で職種の違う多くの職人さんと出会い語り合うのは楽しいですよ。あなたの家への熱い想いを語ったらどうでしょうか。

 なお、上棟式の日は前もって確認して下さい。準備でわからないことは建築家に聞いておきましょう。

仕上工事・・・

 上棟が終わったら、いよいよ仕上工事です。いろんな職種の職人さんが、これからは現場に出入りします。

 建築家は職種間の取り合いなどが設計の意図どおりにできているか確認します。

 また左官足さんの工事などでは、そのサンプルを出してもらってテクスチュアーを見ます。

 仕上がり具合によって意図どおりの空間が出きるかどうか大きく左右するからです。

 あなたにとってこの時期は、職人さんの仕事を見るだけでも楽しいでしょう。簡単そうに見える仕事でも、自分ですると結構大変なんですよ。

外構工事・・・

 建築物に付帯されない外部工事のことです。

 例えば敷地内のネットフェンス取り付け、塀、門柱の設置、アプローチのタイル貼りなどを言う。

植栽工事・・・

 鑑賞・風致などの目的で樹木・草花を植えること。緑が加わって家らしくなるでしょう。

設備工事・・・

 建築物に付帯する設備の配管・取り付けなどの工事で、電気通信、給排水衛生、ガス、空調換気設備などがあります。

工事完了・・・

 やっと工事も終わりました。施工者自身の検査後、建築家は設計図書どおりできているか、建物の内外とも最終的に詳しくチェックをし、設備横器は実際に動かし支障がないか点検します。

 問題点はダメ工事として手直し部分について書面による指示をします。

 その後、役所の完了検査を経てから建築家の立会いの下であなたも検査をしましょう。

 あなたが夢見ていた住まいです。ゆっくり見て歩きましょう。すべての手直しが給わったことを建築家が確認して、建物がいよいよあなたに引き渡しされていきます。

 建築家にとって設計した住宅は自分の子供同然です。

 完成後も成長を楽しみにしています。住まいについて何かあれば遠慮なく建築家に聞いてください。

竣工・・・

 さあいよいよ入居です。

 竣工式…あなたの住宅です。あなたらしい竣工式を演出してみてはどうですか。本当に皆さんご苦労様でした。これから家を育てるのはあなたの役目です。

せっかく知り合いになれた建築家や大工さんそして職人さん、これからもどうぞよろしく!